後手後手に回る政府の対応
それは、原発から離れていても、局地的に高い線量になる「放射線ホットスポット」の可能性があるからのようなのだ。
微粒子の大気拡散に詳しい群馬大の早川由紀夫教授(火山学)は、ブログなどで、ホットスポットの放射線地図を公開している。それを見ると、白河市は、南相馬市と同じぐらい線量が高いホットスポットになっている。この地図をもとに、元原子力安全委員会専門委員の武田邦彦中部大学教授は、2011年5月10日付ブログで、原発からの放射性物質は、「福島から南下した気流に乗って二本松市、郡山市そして白河市まではある程度放射性物質が来ている」のではないかと推測している。
エサの稲わらについては、原発から140キロも離れた宮城県の登米・栗原両市で、規制値の2.7~1.2倍になるセシウムが検出されたと、県が7月15日に発表した。早川教授の放射線地図で、両市を見ると、南相馬市などほど濃度は高くないものの、ほぼホットスポットに当たっている。断言はできないものの、こうしたホットスポットで、汚染が進んでいる可能性はありそうだ。
南相馬市のケースを受けて、厚労省などは、福島県の計画的避難区域と緊急時避難準備区域について、出荷する肉牛の全頭検査をする方針を示した。しかし、この方針は、ホットスポットについては、何の考慮もないものだった。結局、厚労省は15日、浅川町のケースを受けて、さらに範囲を拡大する方針を示さざるを得なくなった。
一部報道によると、政府内では、福島産肉牛の出荷を禁止する案も浮上しているという。とはいえ、対応が後手後手に回っているのは否めないようだ。