高木義明・文部科学相は2011年7月15日の会見で、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、「今後の原子力政策の見直しの中で、方向性を出すことになる」と述べた。この会見を受け、「もんじゅ中止検討 示唆」(朝日新聞)、「もんじゅ、開発中止も検討」(共同通信)とマスコミ何社かが報じた。
枝野長官「予断をもって判断することではない」
この報道を受け、文科省は「開発中止を含め検討するのではなく、全体的なエネルギー政策の中でもんじゅについても議論が自ずと出てくるとの考えを示した」とする「否定」コメントを発表した。
極めて分かりにくい文章だが、廃炉の方向と受け止められることを避けたかったためとみられる。
高木文科相と記者との主なやりとりは、次のようなものだった。
もんじゅの今後について、記者から「『方向性を出す』とは、継続、中止を含めた方向性か」ときかれた高木文科相は、「それはそうですよ。はい。はい。」と応じた。ならば「中止を含めた検討」ということになる。
高木文科相はさらに、「廃止とか単純に継続とかではなく、そういうことを含めて、全体的なエネルギー政策の中で自ずと結論が出てくる」「今は議論をしなきゃいけない」とも述べた。この発言は「廃止を含め議論する」とも聞こえるし、「もんじゅについて直接的に議論をするのではなく、全体のエネルギー政策をまず議論する」という説明にも受け取れる。
これに先立つやりとりでは、「白紙で検討するのか」と聞かれ、「白紙で、というと誤解を受ける」とも答えている。
枝野幸男・官房長官は7月15日午後の会見で、「もんじゅ中止検討」報道について、ミスリーディングだ、との認識を示した。「予断をもって判断することではない」としている。