「一企業の努力の限界を超えている」
かつて「世界の工場」といわれた中国も最近は人件費が上昇し、労働力の安いベトナムやタイに工場が移りつつある。しかし、国内企業の中国進出がなお止まないのは、中国の購買人口に魅力があるからだ。
一方でアジアなどの新興国は、自国の生産を優遇しているので輸入関税が高い。そのため、TPPへの参加を検討すらしていない日本の企業にとっては、早めに現地での生産体制を整え、現地消費を伸ばしたい思惑もある。
さらには円高で輸出が厳しいなか、ウォン安やユーロ安を背景に韓国勢や欧州勢が販売攻勢をかけていて、グローバル競争は激しさを増す。
トヨタ自動車ですら、決算発表時に小沢哲副社長が「日本でのモノづくりへのこだわりは一企業の努力の限界を超えている」と政府への不満をぶつけるほどだ。