「政権批判」官僚の肩たたき にじみ出た菅政権の体質/塩崎恭久・元官房長官に聞く

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   民主党政権や霞ヶ関批判を展開し、「肩たたき」を受けていた経済産業省の古賀茂明氏(55)を支援しようと、超党派の国会議員らが勉強会を立ち上げた。呼びかけ人のひとり、自民党の塩崎恭久・元官房長官に話を聞いた。

   古賀氏は、政権交代前から国家公務員制度改革にかかわってきたが、民主党による改革後退の流れを受ける形で異動となり、2009年12月以降、1年半以上も大臣官房付という「待機ポスト」に「塩漬け」されてきた。政権批判をしたことで10年秋には仙谷由人・官房長官(当時)から国会で「恫喝」されたことでも知られる。

   今回の東日本大震災では、東電の破たん処理と電力事業の再生について政府案を真っ向から批判する手厳しい案をつくり、公表したことなどから2011年6月下旬、経産省事務次官から勧奨退職を迫られる事態となっていた。こうした「古賀切り」への反発は、独善的といわれる菅政権への体質批判とも重なる形となり、自民党はもとより、民主党内でも支援の声が広がっている。古賀氏は7月13日、勧奨退職に応じない考えを上司に伝えた。

「異質な意見を排除しようとする」

ツイッターを5月に始めたばかり。「リアルタイムに近い形で情報を発信できるのはいいですね」と話す塩崎恭久・元官房長官。
ツイッターを5月に始めたばかり。「リアルタイムに近い形で情報を発信できるのはいいですね」と話す塩崎恭久・元官房長官。

――7月5日に初会合があった「日本中枢を再生させる勉強会」の名前は、古賀さんの近著『日本中枢の崩壊』からとったそうですが、どんな問題意識から立ち上げたのでしょうか。

塩崎 勧奨退職だけでなく、古賀さんへの一連の処遇は、単に古賀さん個人の問題ではありません。異質な意見を排除しようとする、今の政権の体質、本質が浮き彫りになっているのです。
   今回の動きを見逃してしまっては、日本の役所は「いろんな意見を言うことができる」という健全性を失うことになってしまいます。多様な意見を言い合えることは、役所だけでなく、国会、社会の健全な発展に大切なことです。

――経産省の事務方幹部の問題というよりも、政権の責任の方がより重いということですか。

塩崎 そうです。海江田(万里)経産相が国会で私の質問に答え、古賀さんへの勧奨退職は大臣の判断だとわかりました。
   さらに海江田さんは、2月の記者会見で(「塩漬け」人事中の)古賀さんについて、「能力を発揮できる場所で仕事をして頂くというのが一番いいことだと思います」と話しておきながら、「場所」を与えていない。古賀さんは1年半のうち1回、地方出張の仕事が与えられただけです。人事権は大臣にあるのに、です。

――塩崎さんは官房長官時代、事務方の人事案を何度もひっくり返したそうですね。

塩崎 はい。そうした経験からみても、今回のような一連の人事は、役所の責任というより大臣、政権の問題だと思います。本来ならあり得ない話です。

――政権トップの菅直人首相にも責任の一端はあるのでしょうか。

塩崎 菅さんがどんなガバナンスを霞ヶ関でやっているのか、ということがにじみ出た結果です。尖閣諸島沖の中国漁船問題で検察に責任を押しつけたように、菅さんは他人のせいにする天才で、情がない、包容力がない。そうした点が影響した人事だとみています。
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