急激な「円高ユーロ安」が進んでいる。東京外国為替市場のユーロ円相場は2011年7月12日に一時1ユーロ108円91銭まで上昇、昨夏の「ユーロ危機」の再発を思わせた。14日は112円台で推移。背景にはギリシャ危機に端を発した債務不安がスペインやイタリアへと広がりそうな勢いにあることが「ユーロ売り」を進めた。
一方、ドル円相場も7月14日に一時1ドル78円45銭まで上昇し、東日本大震災直後の3月17日以来4か月ぶりの高値を付けた。米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国債を格下げする方向で見直すと発表したことが、「ドル売り」を招いた。
GWから約10円の円高ユーロ安
ユーロ円相場が1ユーロ110円台に急落した7月13日、銀行や金券ショップの外貨両替サービスに、外為相場に敏感なサラリーマンや主婦などが詰めかけた。
金券ショップの大黒屋では、ユーロ紙幣が在庫切れとなった。同社の外貨両替サービスはインターネットや電話でも受け付けるが、来店による利用が多い。「新宿や新橋などサラリーマンが多いお店に、近々海外旅行に出かける人や将来のユーロ高を期待する相場の変動に敏感な人が買いに来られたようです」と話す。主婦や学生も少なくなかったという。
また、夏休みを目前に控え、円高は海外旅行を計画している人にとってはプラスに働く。ユーロ円相場は、5月のゴールデンウイークには1ユーロ120円台を付けていた。相場は当時と比べて約10円の円高ユーロ安になっている。
大手旅行会社のエイチ・アイ・エスは、「ユーロ安は欧州への海外旅行には後押しになります」と、ツアーの利用増を期待する。この夏は節電の影響で長期休暇が取得しやすい。「長期滞在や現地で買い物を楽しむ人にはメリットは大きいでしょう」と話す。