「意思表示をして初めて、話し合いが可能になるのです」
竹島がある島根県の県庁関係者に話をきくと、これまで韓国側から挑発的な動きが出るたびに「適切な対応を」と外務省に求めてきたが、ほとんど動きはなかった。今回は、外務省がとりあえず具体的な行動に出た形で、評価できるほどの対応なのかどうかは置いておくとして、「理解はしたい」という。
韓国メディアが多数、「自粛指示ニュース」を報じていること自体、「日本政府が不快感を示した」ということをメッセージとして伝えることができ、意味があったと考えている。逆にいえば、これまでは日本側に不満はほとんどない、という誤ったメッセージを与えていたのではないか、というわけだ。
領土・外交問題に詳しい拓殖大国際学部の下條正男教授は、「従来のように何もしない、という姿勢に比べれば、意思表示をしたこと自体は、それなりに意味がある。本来は当然のことなのだが」との見方を示した。
しかし、単発のパフォーマンスに終わっては意味がない。場合によっては事態の悪化を招くことすらあり得る。「次につなげる外交戦略を描いた上の行為だったのかどうか。それを見守る必要がある」という。現段階では「外務省はよくやった」といえるかどうかは分からない、というわけだ。
下條教授は、今回の外務省の自粛指示について、「政治家も国民も、領土問題をどう隣国と話し合っていけば良いのか、を考えるきっかけにしてほしい」と話している。
「意思表示をして初めて、話し合いが可能になるのです」