減らないHIV感染者 検査を受ける人は減る一方

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   エイズは、治療法の進歩で早く見つかれば恐ろしい病気ではなくなったが、検査を受ける若者が減っているという。2011年7月9日、東京で開かれた「HIV検査試薬日本発売25周年」の記念講演会で、国立国際医療研究センターのエイズ治療・研究開発センター長である岡慎一さんが懸念を表明した。

   エイズの原因ウイルスHIVの検査試薬の世界第1号は米国アボット社の製品。1985年3月に米国で、日本では翌年1月に承認された。9日の催しは、それを記念したアボットジャパン社主催の講演会で、検査技師や看護師、医師らが招かれた。

   講演者の1人、岡さんは「男性同性愛者など特殊な人がかかる、死を待つしかない病気」といった「エイズの常識」がこの25年で一変したことを報告した。96年以前は感染すると余命約7年といわれていたが、多剤併用療法が発達したいまは余命約40年。「発病前に検査で見つかれば、ほとんど死に至ることはなくなった」という変わりようだ。

   ところが、手放しでは喜べない。血友病患者の感染が多かった25年前は特別な治療をしなくても発病までの期間は約10年といわれていたが、なぜか近年は感染から3年程度で発病するケースが多く、「発病が早まっている」感じが強い。

   エイズ患者やHIV感染者の統計をまとめている厚生労働省のエイズ動向委員会によると、2010年の新規エイズ患者は469人で史上最多だった。また新規感染者は08年がピークで09年にはいったん減ったものの、10年はまた増えて史上3番目の多さだった。

   世界の新規感染者は96年をピークに減っていて、日本はその流れに逆らっている。08年以降は、保健所での無料・匿名検査を受ける人が毎年減ってきている。岡さんは何度も検査の重要性を強調した。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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