国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長が2011年7月14日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演を行い、「求めるのは質であって、『大陸』ではない」と述べ、18年の冬季五輪が韓国の平昌(ピョンチャン)での開催が決まったことが、20年東京五輪の招致に影響を与えるとの見方を否定した。
ロゲ会長は、日本体育協会の100周年記念式典出席を目的に来日。14日には、味の素ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)を訪問し、日本オリンピック協会(JOC)が招待した被災者を慰問する。
同じ大陸内で2回連続冬季五輪が開催
会見で、ロゲ会長は平昌五輪について、
「大変コンパクトに、よく組織されたものになるだろう」
と期待感を示した上で、2020年の夏季五輪に東京都が立候補する方針についいて、
「距離、時期ともに近すぎるのでは」
といった指摘があることについて、
「それは当てはまらない」
と否定。例えば、92年のアルベールビル五輪(フランス)と94年のリレハンメル五輪(ノルウェー)のように、同じ大陸内で2回連続冬季五輪が開催されたことを指摘した。それ以外にも、04年のアテネ五輪(ギリシャ)と06年のトリノ五輪(イタリア)、12年のロンドン五輪(イギリス)、14年のソチ五輪(ロシア)の例を挙げながら、
「求めるのは質であって、『大陸』ではない」
と強調した。
「1国1都市開催」が原則
さらに、東京で国際大会を開くことの安全性については、
「間違いなく安全だと思う。国際大会が再び開催されるようになったことは重要なメッセージ」
「公式発表や専門家の見解から知る限りでは、国際大会を日本で行うことには問題ないと確信している」
と述べた。また、一時期検討されていた広島と長崎が共催する構想(両市ともすでに断念を表明)については、「1国1都市開催」を定めた五輪憲章を理由に、否定的な見解を示した。
18年の平昌大会について韓国と北朝鮮の共催を望む声があがっていることについても、
「00年のシドニー大会のように統一チームで開会式を行進するのはシンボリックなこと」
心情には一定の理解を示したものの、実現性については
「IOCに、開催地を2か国に広げることを期待しないでほしい」
と突き放した。