福島県内で発生した大量の放射性汚泥が行き場を失うことになった。埋め立て処分を要請された柳津町が7月13日、汚泥の搬入を拒否、これを受けて福島県は14日、埋め立て処分の見送りを決めた。放射線濃度に応じて処分方法を示した国の指針に現場自治体から「ノー」が突きつけられたわけで、各地でたまり続ける下水汚泥の処理問題はさらに深刻な事態を迎える。
福島県内の下水処理施設では、5月に入って相次いで汚泥から高濃度の放射性物質が検出された。このため最終処分場への搬入ができず、施設内に行き場のない汚泥が増え続けている。福島県北浄化センター(国見町)に仮置きされている下水汚泥は既に1400トンを超えた。
東京など首都圏を含めて関東、東北の各地で汚染汚泥がたまり続けている事態を受けて、国は6月16日、「1キロ当たり8000ベクレル以下ならば埋め立て可」という指針を示した。福島県の仮置き汚泥は、この指針を大きく下回る1100ベクレル程度であることから、柳津町にある最終処分場への搬入再開へ向けて準備を進めてきた。
しかし、柳津町と周辺住民は激しく反発。13日、井関庄一・町長が県庁を訪れ、汚泥搬入を認めないとの考えを伝えた。
地元メディアによると、井関町長は、「町民の安全・安心を守り、風評被害を防ぐことが務め」とした上で、「国や東京電力が責任を持って処分するのが妥当」と町内への汚泥搬入を拒否する考えを示した。
福島県としては今後、他の処分場への搬入・処分を模索せざるを得ないが、具体的な見通しは立っていない。