菅直人首相は2011年7月13日夕方の記者会見で、「原発に依存しない社会を目指すべき」とし、国内の原発を段階的に廃止していく方針を明らかにした。ただし、定期検査中の原発の再稼働については、依然として含みを残した。
菅首相は、東京電力福島第1原発の事故について
「一定のところまでは、ステップ1、ステップ2まで進むことができると思うが、最終的な廃炉という形までたどりつくには5~10年、さらに長い期間を要する」
と、解決には長時間かかるとの見通しを示した上で、
「そうした原子力事故のリスクの大きさを考えた時に、これまで考えていた安全確保という考え方だけでは、もはや律することができない。そうした技術であることを痛感した。そうした中で、これからの日本の原子力政策として、原発に依存しない社会を目指すべきだと考えるに至った」
と、震災を機に原子力という技術への信頼が失われたことを強調。
将来的には原発がなくてもきちんとやっていく社会を実現
「段階的に依存度をさげ、将来的には原発がなくてもきちんとやっていく社会を実現していく」
とした。ひっ迫する恐れが指摘されている夏の電力需給についても、
「ピーク時の節電、自家発電の活用によって、十分対応できると考えている」
と、2011年については深刻な電力不足は起きないとの見方を示した。
また、現時点で運転が停止している原子炉の再稼働の前提になる「ストレステスト」については、
「私の指示が遅れたという点に着いては申し訳ない」
としながらも、
「一貫した考え方に基づいて行ってきたもの」
と述べ「思いつきの指示」だという批判に反論した形だ。さらに、
「ある時期までは、安全性を確保して動かすけれども、古い炉については、ある時期がくれば廃炉にしていくといった計画については、今後しっかりと中長期の展望をもって議論をし、計画を固めて参りたい」
と、今後の再稼働に含みを残した。