今夏の計画停電は避けられそうな見通しが強まってきた。
2011年7月1日から始まった大口需要家に対する電力制限が効果を発揮したことが大きく、「停電なしで乗り切れるメドがつきつつある」という見方も出て来た。
予想供給余力は約6%から約18%まで上昇
大口需要家に15%節電を求める電力使用制限令の発動期間中、東電は気温の推移やこれまでの節電効果を踏まえ、需給見通しを毎週見直して公表する。
7月8日に、7月9~15日の予想最大電力の平均を、当初の5050万キロワットから4360万キロワットまで引き下げた。供給力は電源復旧工程の見直しで20万減の5330万キロワットとなったが、予想供給余力は約6%から約18%まで上昇した。
例えば、2011年7月5日(32.3度)は最大4349万キロワット、7月4日も東京都心で最高気温34.4度を記録したが、4387万キロワットにとどまった。
また、梅雨が明けて初めての平日7月11日、東京都心は最高気温33.8度で、最大電力4594万キロワットを記録した。一方2010年の梅雨明け後の平日7月20日は最高気温34.5度で、最大電力は5726万キロワット。10年の場合は夏休みに入った影響があるとしても、節電の効果は大きいのははっきりした。
東電副社長「夏場乗り切るメドつきつつある」
こうした状況を踏まえ、マスコミ報道にも楽観的な見通しが登場するようになった。日本経済新聞の7月12日付け朝刊によると、東京電力の藤本孝副社長は同紙のインタビューに対して、「同じ気温でみた場合に10~15%程度電力使用量が減り、夏場は乗り切れるメドがつきつつある」と語った。
東電は7月末の供給力を5680万キロワット、8月末の供給力を5560万キロワットと見込んでいる。
東電管内の使用制限令は9月22日まで。大口需要家の節電強制が続くため、7月末~8月末も継続した節電が期待できる。2010年の最大電力実績は7月23日の5999万キロワット。仮に15%の電力削減ができたとすれば、5099万キロワットとなり、供給余力は約10%確保できる。
東電は7月16日以降の予想需要について、現在は5500万キロワットに据え置いているが、藤本副社長は日経に対し、「節電が着実に実施されれば、需要の見通しを見直す」としており、今後の下方修正も考えられる。
もっとも日経の報道について東電は、「藤本副社長の発言については確認していない。電力の需給は依然厳しく、皆様のご協力をお願いしている状況」と話している。