脱原発をキーワードに巻き返しを――そんな菅首相周辺の目論見は肩すかしに終わったようだ。最新世論調査の内閣支持率は、さらに下がって軒並み「政権交代後で最低」をたたき出している。
厳しい声は世論だけではない。内閣不信任決議案の再提出問題に関連して、民主党の足下からは、同党出身の西岡武夫・参院議長が、民主党内から同案を提出するよう議員らに促す動きまで出てきた。
朝日15%、NHK16%……
2011年7月11、12日に報じられた各社の世論調査結果をみると、内閣支持率はついに09年の政権交代後、最低となった。ということは、普天間移設問題や「政治とカネ」をめぐり大混乱に陥り、ずたずたになった状態で退陣した鳩山由紀夫・前政権の末期の数字をも下回ったわけだ。
各調査の内閣支持率は、6月比マイナス7ポイントで15%(朝日新聞)、同マイナス9ポイント16%(NHK)、同8ポイント減16.1%(日本テレビ系列)などとなっている。軒並み2割を大きく割り込んでいる。3割を切ると「危険水域」とされ、1割台半ばでは限りなく「死に体」に近い状態だ。
菅首相は、内閣不信任案が可決されそうだった状況をかろうじて乗り切った6月2日以降、再生エネルギー法案重視や原発ストレステスト導入などの方針を「突如」打ち出し、攻めの姿勢に転じていた。「脱原発の風」を意識し、脱原発解散をちらつかせながら民主党内世論をけん制していたわけだ。
しかし、今回の世論調査で、菅首相は「脱原発の風」に乗るどころか、以前からの「逆風」がむしろ強まっていることがはっきりした。朝日新聞の調査結果(7月12日付朝刊)では、「脱原発賛成派」は77%いるが、その賛成派にきいた内閣支持率も全体と同じたった15%だった。「脱原発」と菅首相支持とは別物と考えているわけだ。