公的資金の資本注入 信金・信組は様子見
とはいえ、被災地の信金・信組の財務内容への不安はなかなか拭えない。震災から間もなく4か月。被災地では復旧・復興のための資金需要が起きはじめていて、新たな借入金が必要となる取引先は多い。既存のローンに、さらに新たな借金がのしかかる「二重ローン」問題は、企業にとっては借入金の増加になり、金融機関にとっては返済に不安がある貸出金、つまり不良債権が増える懸念がある。
前出の信金中金の高橋氏は「杓子定規に考えれば、二重ローンによって(信金や信組が)債務超過に陥る可能性は否定できない」と指摘する。
救済スキームは2通り想定されている。金融庁は、被災地の金融機関を支援するための公的資金の資本注入を可能にする金融機能強化法を改正。8月22日までに施行する。経営責任を問わないことや、信金・信組については合併を条件に返済を免除する特例措置が設けた。
もう一つ、「二重ローン」問題の解決に、公的資金を使って不良債権を買い取る「機構」を新たに設けることが検討されている。
いずれも公的資金で救済することには変わりないが、「金融機関は痛みが少ない方法を選択していくのでしょう」(信金中金の高橋氏)とみている。
公的資金の資本注入には、すでに七十七銀行が手をあげているが、信金・信組はどこも様子見だ。前出の気仙沼信金も「現時点はありません。今後のことは信金中金などと協議しながら考えていきたい」と話している。