千葉の劣化ウラン管理倉庫 震災コンビナート火災で「危機一髪」

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   東日本大震災で、千葉県の石油化学コンビナートが大規模な火災に見舞われ、隣接していた劣化ウラン保管施設の一部も燃えていたことが分かった。施設の火災は1日で鎮火し、放射性物質が漏れることもなかったという。

   劣化ウランといえば、湾岸戦争などで兵器の原料として使われ、現地の住民に深刻な健康被害を及ぼしたという見方も出ている。火災が長引いていたら、あわやの事態に陥っていたかもしれない。

砲弾や「MOX燃料」としての用途

石油コンビナート近くに劣化ウランが(写真はイメージ)
石油コンビナート近くに劣化ウランが(写真はイメージ)

   コスモ石油千葉製油所(千葉県市原市)では、震災当日の2011年3月11日から液化石油ガス(LPG)タンク付近で火災が発生し、3月21日に鎮火するまで燃え続けた。6月30日に開かれた千葉県議会総務防災常任委員会で、委員の質問に対して千葉県消防課では、この火災が製油所に隣接するチッソ石油化学五井製造所にも延焼したことを説明していたことが、取材で分かった。さらに、ここには劣化ウランの保管施設があり、火災で建物の一部が焼けたという。

   当時、同製造所を管轄していたチッソは2011年3月14日、火災が「飛び火」してきたことを認めたうえで、震災翌日には鎮火し「有害物質の発生もありませんでした」と発表したが、劣化ウランについては触れていなかった。

   劣化ウランは、天然ウランから濃縮ウランを生成した後に出る、言わば「残りもの」だ。金属としての密度の高さが特徴で、医療用の放射線の遮断用に使われたり、戦車の装甲を貫く砲弾のような兵器に用いられたりすることがある。プルトニウムと混ぜた「MOX燃料」としての用途も考えられている。

   しばしば取りざたされるのが、兵器としての「劣化ウラン弾」による放射能汚染だ。米軍が湾岸戦争で使用し、イラク戦争でも使われたとされる。戦場となったイラクでは、大量の劣化ウラン弾が撃ち込まれた結果、がんを患う病人や障害を抱えた子どもの増加が報告された、という報道もある。劣化ウランは重金属としての毒性が強いうえ、放射性物質でもある。水や空気が汚染され、被ばくで多数の人に健康被害を及ぼした可能性がある。

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