首都圏の名門ゴルフ場の会員権相場が下落している。ビッグトーナメントの日本シリーズが開催される東京よみうりカントリークラブの2011年6月第4週の相場は、前月比1.4%下落の1380万円。年初と比べると6.8%下落した。バブルが崩壊した1990年以降の最安値となった。
バブル期には最高値の4億5000万円を付けた名門、小金井カントリー倶楽部は4200万円と、年初から20.8%も下落。桜ヶ丘カントリークラブも年初の1000万円を割り込んで900万円となるなど、軒並み下落している。
1~6月期に「大底」を割り込む可能性
ゴルフ会員権の下落は、東日本大震災後に始まった。仲介大手の桜ゴルフによると、2011年1~6月期は全国平均で前年に比べて5.8%程度の値下がりとみている。3月は震災後のわずか2週間で1.4%急落。それによって、1~3月の伸びは0.71%プラスにとどまった。
佐川八重子社長は、「ゴルフ会員権は景気に大きく左右されます。2011年はリーマン・ショック後の景気悪化からようやく抜け出し、企業業績も上向きでしたので期待していました。しかし、それが震災で一変。この1~6月期は大底とみていた昨年12月を割り込む可能性があります」と指摘する。
震災被害の大きかった茨城県は、名門ゴルフ場の一つ、大利根カントリークラブが震災から間もない4月第2週に、年初から20.0%下落の1000万円のとなり、バブル後の最安値を記録した。大洗ゴルフ倶楽部も4月第4週に380万円に下落。筑波カントリークラブは6月第1週に年初と比べて5.4%下落、前月比で2.8%値下がりの700万円となり、こちらも最安値を付けた。
栃木県の小山ゴルフクラブもジワジワ下落し6月第4週に370万円に、埼玉県の武蔵カントリークラブは1040万円に値下がりした。東京都内でも八王子カントリークラブが5月第2週に190万円、府中カントリークラブでは6月第4週に240万円を付けて最安値を更新した。
震災から3か月がすぎても値下がりが続いていて、会員権相場は厳しい状況だ。
日本経済に悲観して「売る」
桜ゴルフの佐川社長は「法人先が積極的に売りに出すケースが多い」とし、中小企業などが震災後の資金繰りのため、売却を急ぐケースが少なくないようだ。
また、個人でも高齢者や、相続時に会員権の名義書き換えを行っていなかった人が売るケースが増えている。消費や行楽などの自粛ムードが強まったこともあるが、高齢者が手放すケースでは「日本経済の先行きを悲観して売るケースが増えています」(佐川社長)と話す。
一方、値下がりで個人でも名門ゴルフ場の会員権を買いやすくなっている。「いまや500万円超の名門コースは全体の5%しかありません。ほとんどが名義書き換え料を入れても1000万円で買えますし、実際に買っている人もいます。ただ、名門といえども質の高い、いいものを買う傾向にあります」と、佐川社長は2極化傾向を指摘する。