「国が何とかしてくれる、じゃだめだ」
国の基準によれば、放射線量が1キロあたり8000ベクレル以下なら埋め立てが可能、8000ベクトルを超えても10万ベクレルまでなら、住宅から離れた管理型処分場に埋め立てることを認めている。
もっとも自治体の下水道担当者は「こんな基準を出されても、どうしようもない」と口を揃える。そのための土地探し、住民の説得、またその後の安全管理まで考えた場合、とても非現実的な話だからだ。前橋市の下水道施設課は、「この数字ならOKだよ、と言われても、受け入れる側としてはハイそうですかというわけには……」と気持ちを代弁する。
千葉県浄水課の担当者は、
「浄水場に埋める場所はないし、引き受けてくれる管理型処分場なんかありはしない。業者に無理強いはできないし、とにかく『お国さま』が指示を出してくれなくては何もできない状態だ」
と苦々しげに話した。
9月上旬には脱水汚泥が満杯になってしまう、さいたま市の下水処理センターでは、悲壮な決意をにじませる。
「埋め立てはとてもじゃないが無理。とにかく今は、施設が一杯になったらどうするかを考えないと。もはや国が何とかしてくれるのを待ってはいられない」