ジーンズは「クールビズ」に不向き? 「風通し悪い」「暑い」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   今夏の節電対策として環境省は「スーパークールビズ」を推進しているが、「アロハシャツはやりすぎじゃないか」「ポロシャツをどうやって着ていいかわからない」などの議論を呼んできた。

   中でもTPOを守れば着用可とされたジーンズについては、そもそもまったく涼しくないと一部で非難を浴びている。2011年6月25日付の朝日新聞の投書欄でも、「趣旨に異議はないが『ジーンズも可』となっている点には首をかしげます」との63歳男性の声が掲載された。

専門家も「効果なし」「理解に苦しむ」

   この投書によると、ジーンズはもともとアメリカの採掘現場向けに作られた作業着であり、肌にフィットするデザインのため、クールビズにはむしろ逆効果という。

「たしかに、ジーンズだと気分的に涼しく仕事ができるという理屈もあるかもしれません。仮にそれが認めた理由だとしても、官庁が採用するにしては、あいまいすぎる根拠ではないでしょうか」

   元繊維業界紙記者でライターの南充浩氏は自身のブログで、「英断だとは思うが」としたうえで、ジーンズ採用への疑問を呈する。ジーンズは単位面積当たりの重さ(オンス)で比較されるが、普通のジーンズは13.5~14オンスの生地で織られていて通気性が悪い。近年定番化しているやや薄手(12~12.5オンス)のジーンズでも、スラックスよりは暑いという。

「夏にジーンズを着用するのであれば、10オンス以下のライトオンスデニムか、ユニクロやエドウィンが発売している吸水速乾素材を混ぜた物以外は効果がない。環境省は何を思って『ジーンズがクールビズ』だと考えたのだろうか?まったく理解に苦しむ」

   ファッションビジネスコンサルタントの平井義裕氏も、読売新聞のサイト「新おとな総研」(5月24日付)のコラムで、「普段はいているスーツのパンツよりも、ずっと暑苦しいことは間違いありません」と指摘。ジャーナリストの佐々木俊尚氏もツイッターで、「ファッション的にあまりに変なスーパークールビズの基準。おしゃれに興味のない人が作ったとしか思えない」と批判している。

「ジーンズ購入したい」はわずか3.8%

   2010年までのクールビズに加え、スーパークールビズで新たに認められたのが、ポロシャツ、アロハシャツ、Tシャツ、ジーパン、スニーカー、サンダル。ただし、Tシャツ、ジーパン、サンダルについては、「TPOに応じた節度ある着用に限り可」となっており、破れてだらしなく見えるジーンズなどは不可とされた。

   環境省の担当者は、ジーンズをスーパークールビズに採用した理由について、着用感が楽という意見があったこと、スーツのように肌にベトベト張り付くことがないことをあげ、「ファッション性などは考慮していない」と語った。スーパークールビズにジーンズを採用したことへの批判の声も多いという。

   大手ジーンズメーカーは吸汗速乾の高機能素材を用いたジーンズなど、スーパークールビズに合わせた「涼しい」ジーンズを続々と売り出しているが、チノパンよりさらにカジュアルな印象があり、実際に会社で着用する人は限られてくる。

   調査会社のインテージがビジネスパーソンの男性800人を対象に実施したアンケートの「この夏、クールビズ・節電ビズファッションのために購入した、あるいは、購入しようと思っているもの」という項目では、「ジーンズ」と答えたのは回答者全体の3.8%と低く、「半袖Yシャツ」の33.0%、「涼感・冷感機能素材のスーツ」21.3%、「チノパン」14.9%などを大きく下回った。

姉妹サイト