「影でうごめいている三井住友銀行の指示で流したのでは」
東電はKDDIの大株主で、出資比率は7.97%。京セラ、トヨタに続いて3番目に大きい。東電の担当者が困惑しながら
「KDDIの話は唐突に頂戴しましたけど、これはマーケットに対する影響というものがございますので、個別銘柄について申し上げるのはどうかな、と」
と話すと、男は、
「賠償の原資じゃないですか?」
「マーケット、マーケットって、何で売ってないんですか?」
「株っていうのは、すぐ売れるんですよ!」
と怒鳴った。東電側は
「最大価格で売却しないと、誰のためにもならない」
と説明したが、話がかみ合わない状態が続いた。さらに、記者が会見の場で個別銘柄を売却するように要求すること自体、異例だと言える。
司会者が
「他の記者の方もいらっしゃるので…」
と、発言をさえぎろうとするが、男はさらに質問することを要求。その質問が
「本日、読売新聞社で、築舘さん(築舘勝利常任監査役)が社長になるという大誤報、大っぴらなウソをですね、書きましたよね。これは、要するに、そちらがね、影でうごめいている三井住友銀行の指示で流したのではないか」
という荒唐無稽なものだったため、記者会見場は大爆笑に包まれ、東電の担当者も
「その点はわたくしどもからお答えする立場にありません」
と切り捨てた。
このようなやり取りが会見ごとに繰り返されていたため、記者の間からは「会見が滞る」「時間の無駄」といった声が相次いでいた。