生活を1時間前倒しにするサマータイム実施や打ち水は、節電対策としては逆効果――。こんな試算結果もある。東京電力管内などの一般家庭で努力目標とされる「前の年より15%減」を達成するにはどうすれば良いのだろうか。
「打ち水」した結果は1%増、サマータイム実施は23%増。独立行政法人の産業技術総合研究所が2011年6月にまとめたシミュレーション結果のうち、家庭(戸建て住宅)の電力需要に関する数字だ。節電効果が出るどころか、かえって増えている。
サマータイムは早く帰宅した人の家庭電力需要を増やす
試算は、東京電力管内を想定している。サマータイム実施は、会社の電力は10%減らすのだが、その分早く帰宅した人の家庭での電力需要を増やす結果となった。家庭(集合住宅)で27%増などとなり、会社を含めた全体では4%増えてしまう。
打ち水の試算は、「13時に1平方メートルあたり1リットルの水をまいた」場合についてまとめた。家庭(戸建て住宅)では1%増の結果となった。湿度を上昇させ、「エアコンの負荷を増大」させたためだ。
ただし、10時にまいた場合は「わずか」にマイナスとなる。17時の場合もほぼ同様の効果がある。
さて、目標の「15%減」にするにはどうすれば良いのだろうか。窓にすだれを使うなどの「窓日射遮へい」と通風換気(エアコン使用前)、「エアコン設定温度を28度に」の3つをすべて行った場合、家庭(戸建て住宅)では17%減になる。
しかし、同じ家庭でも集合住宅の場合は13%減にとどまる。あと2%分はどうすれば良いのだろうか。同研究所ではこれ以上触れていないので、資源エネルギー庁にきいてみた。