「何万年か後に突然変異の可能性」だった
「長い間にDNAの損傷が人類の遺伝子プールに蓄積され、何万年か後に突然変異が頻発するかもしれません。どのような変異なのかは予想もつきません。それが一番、恐ろしい」
そのうえで、柳澤桂子さんは、細胞分裂が盛んな乳幼児や妊婦は少しでも放射線を浴びないようにと呼びかけている。
クロワッサン誌では、別の専門家の意見も紹介している。慶大医学部放射線科講師をしている近藤誠さんのインタビュー発言だ。そこで、近藤さんは、動物実験では遺伝子変異の可能性はゼロではないとしたものの、「人間の場合のリスクはデータとして検出できないくらいわずかなもの」だと言っている。つまり、被曝した後に子どもができても、その子どもへの影響はほとんどないということだ。
とはいえ、タイトルに発言の一部だけが使われたため、ネット上で憶測を呼んでしまった。
クロワッサン誌は、公式サイト上で2011年7月1日夕、お詫び文を掲載し、「不適切で配慮を欠いた表現」があったとして謝罪した。
二階堂千鶴子編集長は、取材に対し、「不適切な表現で誤解を招いてしまったことは、申し訳なく思っています。次回号でも、お詫びの言葉を載せたいと考えています」と話している。