政府が大口の電力利用者に対して「電力使用制限令」を2011年7月1日に発令するのを前に、東京電力管内の電力需要が東日本大震災以降最大に達した。計画停電は4月以降見送りが続き、今年の夏についても「不実施が原則」だとされている。このまま行わずに乗り切れるのか。
6月29日の東京電力管内の電力需要は、ピーク時の14時台には4570万キロワットに達した。前日に予想していた最大予想電力(16時~17時に4550万キロワット)をわずかに上回り、3月11日の東日本大震災以降最大に達した。
予備率は本来ならば8%~10%程度が適切
この日の最大供給力は4900万キロワット。最大供給力に占める使用電力の割合を表す使用率は93.3%に達し、逆に電力供給の余力を示す「予備率」は初めて7%を切って6%台に突入した。予備率は、本来ならば8%~10%程度が適切だとされる。発電所や変電所の予期せぬ事故のリスクも考慮したものだ。ただ、3%を切ると「危険水域」だとされる。
ただし、「でんき予報」を見る限りでは、ピーク時でも使用率が80%台の前半で収まる日が続き、7月5日午後には86~88%に達する可能性がある程度だ。ここ1週間程度は、「9割超え」になる可能性は低そうだ。
では、中長期的な見通しはどうか。東京電力が6月6日に発表した6月各週の需給見通しでは、6月25日~7月1日の週の最大供給力が4960万キロワットで、想定最大需要は4370万キロワット。また、6月30日の最大供給力は、当日朝になって前日予想(4980万キロワット)から5010万キロワットに上方修正されている。このように、最大供給力は、現時点ではおおむね予定通り上積みが続いている。ただし、想定最大需要は、6月6日時点の発表と実績値とではやや開きがある。