福島県内の市町村を中心に、小中学校の通学路について放射線量マップをつくる動きが広がっている。これまでは保護者らによる草の根活動が中心だったが、郡山市では市教委が全小中学校に線量地図の作成を指示した。これを機に、行政が自ら詳細なマップづくりに乗り出す動きが広がりそうだ。
郡山市は福島第一原発から50~60キロに位置する。保護者の間に、子どもたちの生活に最も身近な通学路の安全・安心を確保してほしい、という声が強いことから6月29日の校長会議の場で、市教委が方針を示した。
地元メディアによると、本宮市の本宮一中ではPTAが放射線量を測ってマップを作っている。すでに、学区内97か所の放射線量を測定した。放射線量マップを校舎に掲示し、線量が高い場所には近づかないよう生徒に注意を呼びかけるという。こうした活動は、市町村からの貸与などの形で線量計が普及するにつれて急速に各地に広がっていて、行政も動かざるをえない状況になりつつあるようだ。須賀川市でも、行政主導で小中学校通学路のマップづくりを検討中だ。
宮城県にも動きは広がる。福島県境の丸森町筆甫の住民自治組織は、地区内の空間放射線量を細かく調べ、地図上に数値を示す放射線マップの作製を始めた。通学路など約150地点で測定する。マップは7月中旬ごろまでに全戸に配布する計画だ。