故障頻発の汚染水浄化装置つくった 米「キュリオン社」はナゾだらけ

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ウェブサイトに過去の実績掲載されていない

   キュリオン社が、放射性セシウムの吸着装置を東電に納品したと発表したのは、2011年6月2日。発表の中で、装置の完成まで5週間という異例の短期間だったと明かしていることから、4月下旬には東電から同社へ発注が完了していたと見られる。その直前の4月17日には東電が、事故収束への工程表を発表し、「ステップ1」として汚染水処理施設の設置を掲げていた。

   だが、同じ浄化システムに参加した世界最大の原子力企業の仏アレバ社や、東芝などと比べると、ベンチャーのキュリオン社の採用は不透明感が否めない。レイモントCEOは「長い時間をかけて協議した」と話すが、待ったなしの状況で「藁にもすがる思い」だった東電が、「スリーマイル原発事故でも効果を上げた素材と技術」をアピールするキュリオン社の採用に走ったかもしれない。

   レイモントCEOはかつて、核廃棄物処理会社「ニューケム(Nukem)」の社長兼CEOを務めたが、ニューケムは2007年に米最大手の「エナジー・ソリューション」社に買収された。キュリオン社では、そのエナジー・ソリューション出身者が副社長に就いている。経営陣を見る限りでは、日本との太いパイプを持っていそうな人物は見当たらないが、相談役の1人はジョージ・W・ブッシュ前大統領の下で、エネルギー省環境マネジメント部門の次官補だった。さらに、キュリオン社の大口投資会社では、1993~95年にCIA(米中央情報局)長官を務めた「大物」が4月に「ベンチャーパートナー」に就任している。これらの人物が日本政府と何らかのつながりを持っていた可能性もないとはいえない。

   キュリオン社のウェブサイトには、過去の実績は掲載されておらず、同社の技術力を解説する内容もない。何ともつかみどころのない印象だ。

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