福島第1原発の1~4号機を中継している、東京電力の「ふくいちライブカメラ」に原発から噴出する「白い煙のようなもの」が何度も映し出されている。そのたびに、「これヤバくない?」といった声が上がるほか、東電は何か隠している、という疑念もくすぶっている。その正体は一体何なのか。
たとえば2011年6月26日夜には、3、4号機の建屋あたりから白い霧状のものが広がり、これを見たネットユーザーからは「異常事態ではないか」などと不安を訴える声がたくさん上がっている。
原発全体が霧で覆われたように
ライブカメラは第1原発内の免震棟付近に設置され、1~4号機を斜めの角度から24時間映し続けている。夜は白黒の映像となり、照明を浴びた原発の建物が白く浮かび上がる。動画サイト「Youtube」には、この映像1時間分を早送りで3分間に短縮した記録動画が、あるユーザーによって投稿され続けている。
これを確認すると、もっとも注目を浴びたのは6月14日の0~1時の動画だ。映像では3号機あたりから煙のようなものが徐々にのぼっていくのが見え、0時50分ごろからは一気に広がり、最後には原発全体が霧で覆われたような状態になる。早送りのせいか、「白い煙」が一気に噴出しているようにも見える。
映像を見た視聴者からは、「これヤバくない?」「そろそろ逃げるか…」といった心配の声が上がり、再生数は64万回を突破している。中には、新たな爆発や大量の放射能漏れを疑う声もあり、「東電は何かを隠しているに違いない」と訴える人もいる。
使用済み燃料プールから出ている湯気?
もくもくと上がる「白い煙」は、ライブカメラの設置以降何度も確認されており、そのたびに「いよいよ爆発」「日本終わった」などと話題になってきた。同時に強い光もときおり確認されている。TBSが山側に設置した「JNN福島第一原発情報カメラ」の映像でも同様だ。
その正体については、「霧だろう」「ただの水蒸気だ」「チェレンコフ光ではないか」などさまざまだ。しかし、映像が白黒のため、騒がれているように「白い」か、どうか確認できないうえ、早送りとなった映像がまるで勢いよく噴出させているように見えるだけかもしれない。
東電に聞くと、騒がれている「白い煙」は、使用済み燃料プールから出ている湯気あるいは霧の可能性が高いという。夜にはカメラが高感度のナイトモードに切り替わり、明暗をくっきりと分けるように映すため目立つようになる、というのだ。
ときおり映る強い光もこれが原因と見られ、「高感度カメラが安全パトロールや車両ライトなどの光に強く反応している可能性がある」。周辺の放射線量のモニタリングでも異常は見られないという。