民主党の両院議員総会で、退陣時期を明確にしない菅直人首相に批判の声が相次いだ。中には、小学生らが菅首相の発言の真似をして、「宿題は一定のめどがついてから」といってなかなか取りかからないという話を披露する議員もいた。
総会は2011年6月28日夕に始まった。菅首相は、27日の記者会見で述べた通り、自ら退陣時期として示している「震災対応の一定のめど」について説明した。第2次補正予算案と特例公債法案、再生可能エネルギー法案のすべてが成立すれば「次の世代にバトンを譲って」いくと話した。
途中退席に「逃げるのか」
しかし、具体的時期として、例えば「8月末までには」などの表現はなかったため、集まった議員らからは不満の声が続いた。
阪口直人・衆院議員は、「一定のめど」という言葉だけで具体的時期を示そうとしない菅首相の態度について「国民は不条理を感じている」と述べ、いつ退陣するのか明確にするよう求めた。
阪口議員は、小学生らの間で、宿題をやらない言い訳として「宿題は一定のめどがついたらする」という言い回しが広がっているとも指摘した。親から宿題をするように言われても、「一定のめど」云々でなかなか取り組まない子どもらが出ているようだ。阪口議員は、そんな悪影響が出ている、と言いたかったようだ。
これらの意見に対し菅首相は、時期明確化については直接答えなかった。「菅個人としてでなく」、震災・原発事故対応の連続性や「(衆院任期切れとなる)これからの2年」で、国民の理解を民主党が取り戻す道筋をつけたいなどと述べた後、公務を理由に小1時間で途中退席した。やじが激しく飛び、「逃げるのか」との声も聞こえた。
「次期国政選挙では原発が最大の争点」
また、菅首相は退席前、再生可能エネルギー法案への意気込みに絡み、原発事故を受け原発行政をどういう方向へもっていくのかが「次期国政選挙で最大の争点になる」とも述べていた。
これを受け、菅首相の意中には「衆院解散・総選挙」があるのではないか、と首相の退席後に質問する議員もいた。岡田克也幹事長は「解散はあるはずない」と否定した。
参加議員らからは不満の声が相次いだ形ではあるが、総会のインターネット中継をみていた利用者からは一応に追及不足、迫力不足を指摘する声が相次いでいた。
議員の側も言いたいことがいえなかったようで、石井登志郎・衆院議員は、総会を今後、「クローズ」にすることを提案した。「テレビを意識して不必要な発言がされないように」と説明したが、テレビやネットの中継を議員が意識して「本音」の議論ができないという不満もあったようだ。
菅首相の途中退席を含め、「ガス抜き」としては不十分だったようで、今後も菅首相の退陣時期をめぐる民主党内の不和、混乱は続きそうだ。