菅直人首相が、自民党から「一本釣り」して浜田和幸参院議員を総務政務官に起用したことをめぐり、自民党が激怒している。怒りは、突然離党を表明した浜田氏にも向けられている。つい数日前まで、ブログで菅首相を罵倒する文章を書き連ねていた上、実際に起用される数時間前まで、自民党幹部に「離党するつもりは毛頭ない」と話していたからだ。
自民党の参院幹部にとって、今回の一本釣りは「寝耳に水」だったようだ。その様子は、2011年6月27日の幹部のツイートからもうかがえる。
全員の前で「離党するつもり一切ない」
山本一太参院政審会長は13時33分、
「参院幹事長室で、浜田和幸参院議員を囲んで話をした。幹事長、国対委員長、幹事長代理もいた。浜田氏は、全員の前で『自分は離党するつもりは一切ない!』と断言した」
その1分前の13時32分には、世耕弘成参院幹事長代理が
「浜田氏は『離党するつもりは毛頭ない!』と明言」
とツイートしている。2人がほぼ同じタイミングで同じ内容をツイートしたということは、浜田氏は、この時点では離党の意思を明確に否定していたと言えそうだ。
確かに、浜田氏のブログの内容からすると、「政権入り」するとは、にわかには考えにくい。例えば、わずか2週間前の6月14日には「菅総理の余命カウントダウン」と題して、
「菅総理の頼りない棒読み答弁」
「内閣不信任案が否決されたことで、自らの政治生命が長らえたと無邪気に思い込んでいる総理」
「厚顔無恥の菅総理」
と、必ずしも上品とは言えない表現で菅首相を批判している。
このような状況での離党表明に、前出の自民幹部は激怒。
世耕氏は、19時33分には、
「我々にウソをついたということです」
とツイートしたのに続いて、19時47分には、離党届の写真付きで
「浜田氏の離党届。秘書が幹事長室職員に届けただけ。サインもなし。説明もなし。こんなもの受理できませんね」
と怒りをあらわにしている。確かに、自分の名前の横には捺印されているものの、離党届の本文には、ワープロで
「私こと浜田和幸は、一身上の都合により、自由民主党を離党いたします」
と書かれているだけだ。非常識だとの批判もあがりそうだ。