菅直人首相は2011年6月27日に首相官邸で記者会見を開き、これまで「一定のメド」と説明してきた自らの退陣時期について、(1)第2次補正予算(2)再生可能エネルギー法案(3)公債特例法の3つの成立が「一定のメド」になると説明した。
だが、具体的な退任時期や、仮に法案が成立しなかった場合に対応については明言せず、実際に退陣するまでには紆余曲折がありそうだ。
原発事故収束・再発防止担当相に細野豪志首相補佐官
記者会見に臨む菅直人首相
会見は、新設した復興担当相のポストに松本龍防災担当相を兼務させ、原発事故収束・再発防止担当相に細野豪志首相補佐官を起用したことを受けて開かれたが、やはり話題は退任時期に集中した。
菅首相が退陣表明をした6月2日の記者会見は、「一定のメド」の意味について「(原子炉の)冷温停止」と発言。事故収束のための工程表では、「冷温停止」になるのは最も遅い場合で2012年1月だとされていることから、「実質的な居座り」だとの批判が相次いでいた。その後、国会の会議が8月31日まで70日間延長され、与野党ともに「会期末までには退陣する」との立場は一致していた。
そこに、この「3条件」が示された。これらの3条件が満たされなかった場合について、「9月1日以降も続投するという理解で良いのか」と問わると、
「この3つをもって、この一定のメドと考えると言うことを申し上げた。まさにそのように考えている」
と、9月以降も続投する可能性を否定しなかった。
再生可能エネルギー法案「何としても成立させたい」
さらに、成立に強い意欲を見せている再生可能エネルギー法案については、
「何としても私の内閣の責任で成立させたい」
と断言した。
また、定期検査などで停止したままになっている原発については、中長期的には石油、石炭、天然ガスといった化石燃料の使用が増加することはやむを得ないとした上で、
「しっかりと説明して安全が確認されたものについては、稼働させていくということになる」
と、再稼働への理解を求めた。