民主党政権の公務員改革が不十分だと主張して、事実上「閑職」に追いやられていた経済産業省のキャリア官僚・古賀茂明氏(55)=大臣官房付=に対して、松永和夫事務次官が正式に退職を求めていたことが明らかになった。何が同省の逆鱗に触れたのか。
朝日新聞や毎日新聞が報じたところによると、松永和夫計算事務次官が2011年6月24日に古賀氏を呼び出し、7月に退職することを求めたという。このことは、6月25日未明にテレビ朝日系で放送された「朝まで生テレビ!」でも話題になっている。
「個別の人事については、お答えは差し控えたい」
司会の田原総一朗氏が番組冒頭、出演していた古賀氏を向いて、
「今日肩たたきされたんだって?『やめろ』と」
と発言。古賀氏はこの問いには反応しなかったが、評論家の小沢遼子氏が、
「自分で辞めるのと辞めさせられるのとは、大違いよね?」
と述べると、右隣に座っていた古賀氏は小さくうなずき、退職勧告を否定しなかった。
ただし、経産相の大臣官房秘書課では、古賀氏の人事について報じられていることは把握しているとしながらも、
「個別の人事については、お答えは差し控えたい」
と事実関係を認めていない。
古賀氏は、東京大学法学部を卒業後、旧通産省に入省。産業再生機構執行役員、経済産業政策課長などを歴任し、08年に国会公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任。天下りの規制強化や事務次官の廃止などを提案したが、霞ヶ関の猛反発で頓挫。09年末には審議官のポストを外され、事実上の閑職に追いやられた。この間、新聞・雑誌などで民主党政権の改革案の批判を続けたことで、波紋が広がっていった。