リニア効果で観光客が増えるのは、最初の何カ月?
駅建設負担はさて置き、地元の期待はなんといっても経済効果。例えば山梨県の場合、県の「リニア影響基礎調査」(2009年12月)で、リニアは県内と東京を25分、名古屋を39分で結ぶ 結果、県内生産額は年間146億円(0.22%)増、 交流人口(県内の発着人数の合計)は1日約2万人増、 県内消費は年間54億円増――などと試 算している。
しかし、専門家からは「試算に使った計算モデルは、高速道路の効果の試算によく使われるもので、リニアは高速道路のように荷物を運べるわけではなく、製造業の出荷額の増加などにどこまで見込めるか」といった疑問の声が出る。
観光面の効果についても、観光目的の交流人口は1日あたり5100人多くなると試算しているが、仕事や観光で来県した3000万人のう ち88%が車利用者で、鉄道利用者はわずか9%(2005年)という数字もあり、県内観光業者の間では「リニア効果で観光客が増えるのは、最初の何カ月かだけだろう」との悲観論が少なくない。
他県を含め、駅が郊外に立地すれば、中心部などからのアクセス道路や駐車場といった駅周辺施設など、駅自体以外の整備費用も必要になる一方、中心市街地衰退の恐れもある。東京が近くなることで、東京からの集客とは逆に、若年層を中心に人口流出の可能性を指摘する声もある。