菅首相は現状を楽しんでいる?
菅首相の粘り腰について、心理学や政界の関係者に話をきいみてみた。
精神科医の日向野春総・ヒガノクリニック院長は、菅首相の性格について「タフ、といっても打たれ強いという良い意味ではなく、鈍感という意味でタフ」と分析する。たとえ「菅降ろし」という形であれ、自身に注目が集まる現在の状況を「楽しんでいる」とみる。「よほどのことがないと自分からは辞めないタイプだ」。
一方、「菅首相は、実は小心者なのでは」と指摘するのは、明治大学講師の関修氏(精神分析学)だ。強気に包囲網を突破しようとしているように見えるのは、「都合の悪いことは見ないようにするという小心さの逆の現れ」だという。
それでいて都合の良いお膳立てにはすぐ乗るタイプなので、「解散すれば勝てるという耳打ちが続けば解散に打ってでる可能性は多いにある」とみている。
もっとも、菅首相は「普通だ」と擁護する人もいる。「薄口」政治評論家としても知られる前衆院議員(自民)の杉村太蔵氏だ。
首相の座は大変重いため、なかなか手放さないのは「当たり前」で、「厚顔無恥」(田上等氏)に粘っているのではなく、むしろ直近の首相らがたった1年前後であっさりと政権を放り投げ過ぎた、とみる。
「菅首相がやろうとしている『税と社会保障の一体改革』など、是非実現してほしい。菅首相が辞めずに頑張る姿勢にはエールを送っている」
菅首相は6月23日、沖縄で記者団の質問に答え、「私がやらなければならないことは、復旧・復興と原発事故の収束だ。燃え尽きる覚悟で取り組んでいきたい」と話した。菅首相が「燃え尽きる」日は来るのだろうか。