ネットカフェや漫画喫茶の個室について、警察が摘発を強化している。児童買春に使われたケースがいくつか発覚したことがきっかけだ。
2010年夏から秋にかけ、東京都や神奈川県で男子大学生が女子高生に5000円~1万円を渡して漫画喫茶などの個室で買春、逮捕されるケースが相次いだ。
警察庁が指示、大阪府警が6店摘発
警察庁の保安課によると、その後、「どこでも営業してよいのか」「児童が個室に泊まり込んだりするのはよくない」といった苦情が警察に寄せられた。このため警察庁は、風営法上の許可なく個室営業しているネットカフェなどがあることは見過ごせないと判断。11年4月には、各都道府県警に無許可店への摘発を強化するよう指示した。
これに沿うように、大阪府警が4、5月に、指導に従わなかったとして、大阪市内のネットカフェ計6店舗を風営法違反(無許可営業)の疑いで摘発した。
ネットカフェや漫画喫茶にはさまざまタイプの席があるが、規制の対象になるのは主に「完全密室型」の個室を持つ店。2006年の風営法改正で規制が強化され、外から内部を見通せない5平方メートル以下の個室で飲食物を提供する場合は、都道府県公安委員会の許可を得なければならない。6店は、この規定に引っかかったということだ。
2ちゃんねるでは、「別に個室にする必要ないわな。オープンで充分だろ」といった声もある。しかし、「個室じゃないネカフェとか存在意義ねーだろwww」「ネットカフェ難民がホームレスに逆戻りだな」「窮屈になって窒息しそうだわ」といった指摘も。
カラオケや個室居酒屋との違いは?
摘発強化を報じた東京新聞の2011年6月22日付記事によると、業界からは「今の形での個室営業ができなくなれば、影響は計りしれない」と懸念の声が強いという。個室に窓を付けるなどするとお金がかかったり、客が来なくなったりする恐れがあり、個室の許可を受けたとしても風営法上、午前零時以降の深夜営業ができなくなるからだ。
これに対し、警察庁の保安課では、こう説明している。
「店内を安全なものにしてもらわないと、犯罪の温床になってしまいます。児童買春のほか、連れ込んで口をふさぐなどして強制わいせつや強姦が起きる可能性があります。風営法で決まっているものですから、守ってもらわないと困ります」
ネット上などでは、カラオケの個室や最近はやりの個室居酒屋などとの違いが分からないといった声も出ている。この点については、保安課では、「もちろん5平方メートル以下なら、規制の対象になります。しかし、1、2人が入れるぐらいなので、カラオケの個室はそんなに小さくはないです」と言っている。