角突き合わせる橋下知事と平松市長 今度は「脱原発」巡ってバトル勃発 

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   大阪市の平松邦夫市長が関西電力に「脱原発」を求め、関電の八木誠社長と2011年6月20日、会談した。大阪市は関電に9.37%出資する筆頭株主で、平松市長の発言が29日開催の関電の株主総会にどう影響するか、注目されたが、平松邦夫市長は株主総会で「脱原発」の定款変更を株主として提案しない意向を示し、現実的な対応をみせた。

   ただ、「脱原発」で活発に発言する大阪府の橋下徹知事は、首長政党「大阪維新の会」代表として、関電の株主総会で「脱原発」を提案することを、今秋に予定されている大阪市長選の同会の公約に掲げる意向を表明した。ことあるごとに対立する橋下、平松両氏のバトルが原発をめぐっても始まった。

「今の立場的に脱原発と言えないのは分かる」

   平松市長は八木社長との会談で、脱原発に向け再生可能エネルギーへの転換を求めたのに対し、八木社長は会談後、「提案を真摯(しんし)に受け止めている。国民的議論を踏まえ、適切に対応する」と述べるにとどまった。しかし、平松市長は「今の立場的に脱原発と言えないのは分かる」として八木社長の対応に理解を示し、再生可能エネルギーの導入促進などで「一定の理解は得られた」と述べ、両者が再生可能エネルギーの普及促進に共に取り組むという一致点を強調した。

   関電の株主総会をめぐっては、機関投資家に議決権行使を助言する民間会社の中にも「原発を民間企業が行うにはリスクが大きすぎる。脱原発の株主提案には賛成すべきだ」との見解を表明するところもあり、市民グループなど脱原発の株主が活動を活発化させていたが、橋下知事に比べ、「より常識人」と目される平松市長が穏便な姿勢を見せたことに、関電側は一安心というところだ。

   一方、橋下知事も6月21日に八木社長と会談したが、脱原発論議はかみ合わず、平行線に終始したという。会談の詳細な内容は明らかになっていないが、橋下知事は会談後、記者団に「電力会社の認識がいかに世間とずれているか。経済産業省と電力会社が一体化してやってきた電力政策を転換していかないといけないということを、少しでも国民に認識してもらえればいい」と述べた。

橋下知事と関電側の溝は埋まらず

   「原発を再稼働しなければ電力が不足する」として、首都圏並みの15%の節電を呼び掛ける関電と、「15%の節電要請は原発再稼働のための脅しだ」とする橋下知事の溝は埋まらなかった。

   平松市長批判は、この後、記者団とのやり取りの中で飛び出した。定款変更には3分の2以上の賛成が必要となる。橋下知事は「維新の会」の候補者が市長に当選した場合、「原発の依存度を下げるという趣旨を具体化するよう次の株主総会で提案する」と語り、2012年の株主総会で提案する考えを表明した。

   今回の福島第1原発事故を受け、いち早く「脱原発」を表明し、関電の「15%節電要請」を批判した橋下知事に対し、平松市長も今月17日になって「脱原発」を打ち出し、犬猿の仲の両氏も、この問題では手を結ぶのでは、との観測もあったが、そんなに簡単ではない。橋下知事は平松市長に対し「本気で脱原発の方向で関電を動かそうと思うのだったら『委任状争奪合戦』をやったらいい」などと挑発しており、橋下知事自らのくら替え出馬も取りざたされる秋の市長選をにらみ、両氏のバトルは続きそうだ。

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