「カンボジア代表」で五輪目指す猫ひろし 国籍取得の「壁」くぐりぬける方法

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「最終決定は、カンボジア国王令に基づく」

   だがカンボジア国籍法13条には、このような定めもある。

「カンボジア王国に特別な利益をもたらしたり、功績をあげたりしたことを証明できる外国人は、第8条3項に示されている条件を満たしていなくともカンボジア国籍を申請できる」

   「第8条3項」とは「7年間の居住」という条件を指す。つまり猫さんがマラソンで活躍し、カンボジアの名誉を高めるような成果を挙げられるのなら「特例」として、細かい条件抜きで申請を認めるというわけだ。さらに同法では、「帰化の決定は、カンボジア国王令に基づく」となっている。要するに、最終的には国としての判断がモノを言うことになる。

   猫さんにとって追い風なのは、カンボジア五輪委員会(NOCC)のサポートがあることだ。2011年6月21日の猫さんの会見にはNOCCの理事長が同席。既にカンボジア国籍を申請中だと明かし、NOCC理事長も取得を後押ししていると話した。NOCCのウェブサイトには、なぜか「猫ひろしさん・プノンペンハーフマラソンパートナー」との紹介文とともに本人の写真が掲載されているほどだ。このマラソン大会は6月18日に実施され、猫さんは2位と大健闘だった。

   ただし日本の国籍法では、自ら希望して外国の国籍を取得した場合、日本の国籍を喪失するとなっている。また猫さんがカンボジア国籍を認められれば、同時にカンボジア国民としての義務も発生する。

   ロシア国籍を取得し、2010年のバンクーバー五輪フィギュアスケートのペアにロシア代表として出場した川口悠子選手は、「国籍が日本でなくなるということは重大な決断」と発言した。会見では芸人らしく笑いを振りまいた猫さんだったが、本人にとっては葛藤の末の決断だったかもしれない。

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