GDPの約1.9倍と日本は先進国で最悪水準
ギリシャが大混乱に陥ったきっかけが、国債の格下げだ。
ヨーロッパでは、10年頃から国債の格下げが相次いでおり、10年春にギリシャ国債が格下げされた際には、ギリシャ国債の7割を占める海外マネーがいっせいに売りに出たため市場が大混乱した。一方、日本国債の国内保有率は95%にのぼる。日本では家計の貯蓄率が高く、貯蓄総額は約1400兆円。国債は銀行預金や郵貯貯金の形で国民に保有されており、02年に今回同様、格付けがAAからAAマイナスに下がったときもビクともしなかった。また、今回、ランクが下がったといっても上から3番目から4番目に落ちただけ。ギリシャのようにこの1年半で7番目から18番目まで転げ落ちたのとはわけが違う。
ただし、いわゆる「国の借金」として知られる公的債務残高は、ギリシャがGDPの約1.2倍に対して、日本は約1.9倍。先進国の中では最悪の水準だ。この「国の借金」は増加する一方で、数年後には1000兆円を超えるおそれがある。貯蓄率も低下傾向が続いている。
このことから、さらに欧米格付け会社が日本国債の格付けを大きく引き下げた場合、急落(利回りは急騰)する恐れがある。そうなると、国内金融機関が打撃を受けるのに始まって、日本経済全体に混乱が広がる可能性もあり、必ずしも「ギリシャ危機」は他人事だとは言い切れない。