「世論喚起の形になって良かった」
それにしても、今回「2位じゃダメなんでしょうか」報道を批判した蓮舫氏は、どこに不満をもっているのだろうか。
蓮舫氏の著書「一番じゃなきゃダメですか?」(2010年6月)の何か所かで、この問題について触れている。
一部を引用すると、「前後の関係を見ていただいた方々には、役人側に説明能力がない、ということがわかってしまった」「一部分を取り上げられることに対しても、自分自身の口から出た言葉ですから、私は否定もしないし、言い訳もしません」などとして、スパコンについて家庭などでも広く議論が浸透したことが「最大の副産物」だったと指摘している。
2009年11月にあったスパコン関連事業仕分けの様子を動画であらためて確認してみた。
蓮舫氏の発言の前に、「1位でいられる期間は?」「一時的にトップになることにどの位意味があるのか」との質問が出る。回答者は「国民に夢を与えることが大きなひとつの目的」と述べた。
その後、蓮舫氏はそうした思いや夢を否定するわけではないと前置きしつつ、「本当にこの額が必要なのか、もうちょっと教えて下さい」などと注文する。そして例の「2位じゃダメなんですか」が出てくる。2位以下になると、それまでの人的、材的投資がゼロになる、という意味なのかとも質問している。さらに、米国との共同開発の可能性についても聞いている。
その後も、文科省側の答えに納得がいかないのか、ほかの「評価者」らからも同趣旨の質問が相次いでいる。(10位以内には入るが1位ではない)フランスやドイツのスパコンはどうなるのか、といった具合だ。
ある文科省関係者に「2位じゃ~」発言についてあらためて話をきくと、「スパコンの意義や世界一を目指す必要性について世論を喚起する形になって結果的には良かった」と答えた。蓮舫氏への「感謝」なのか「皮肉」なのかは分からなかった。