原発再稼働目指し「全国行脚」 海江田経産相の前途多難

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   原発再稼働に向けて、海江田万里経済産業相が原発のある自治体を説明に「行脚」する。原子力安全・保安院が2011年6月15~16日に行った立ち入り検査を終え、経産相は「深刻な事故に対する措置が実施されていることを確認した」として、原発が立地する自治体に原発の運転再開に理解を求めた。

   原発の再稼働をめぐっては、政府が電力会社に対して3月の緊急安全対策に続く追加策を指示。電力会社は6月14日までに報告書を提出していた。

   菅直人首相もインターネットで、「(原発再稼動について)海江田大臣の考えは、わたしもまったく同じだ」と述べ、国として「再稼働」の方針を明確にした。

反発強める知事「安全性の回答不十分」

海江田経産相、「軽率」な発言だった
海江田経産相、「軽率」な発言だった

   海江田経産相は原発の再稼働に向けて、「必要とあらば、わたし自身が立地地域にうかがって直接ご説明とお願いを申し上げたい」と語る。

   しかし、原発を抱える自治体の知事らは「原発再稼働」の方針に不快感をあらわにする。13基の原発が立地する福井県の西川一誠知事は6月20日の記者会見で「状況は変わっていない」と話し、現段階での原発の再稼働は認められないとの認識を示した。現在停止中の中部電力の浜岡原発との安全性に違いについて、政府に説明を求めているが回答は得られていないという。

   東京電力の柏崎刈羽原発を有する新潟県の泉田裕彦知事も「福島原発の事故原因の検証もないまま、安全性を確認したなどと発表するなど、論評に値しない」と批判。佐藤雄平福島県知事は「どのように安全なのか聞いていないが、それが大前提になる」と話し、冷温停止中の福島第二原発の「再稼働はあり得ない」と言い切った。

   どこも「安全性についての回答が不十分」との認識で、国の方針を鵜呑みにはできないとの立場だ。

   半面、原発の再稼働に複雑な心境をにじませたのが、東北電力の女川原発がある宮城県の村井嘉浩知事。海江田経産相の説明に、村井知事は「一定程度の理解をする」とし、「再開についてコメントする段階にない」と述べるにとどめた。

   また、九州電力の玄海原発がある佐賀県の古川康知事も、「開会中の県議会との議論なども踏まえて判断したい」と明言を避けている。

立ち入り検査の直前に地元への説得表明

   海江田経産相は原発の安全対策を確認する立ち入り検査の直前の6月14日に、関西電力の八木誠社長と会談。福井県の西川知事が「原発の再稼働は認めない」との姿勢を崩さないなか、八木社長が「福井県に足を運んで説得してほしい」と伝えると、「協力を得るために努力したい」と話し、原発の安全性の説明に地元への訪問も辞さない考えを、この時すでに明らかにしていた。

   その翌日の15日には、伊方原発を抱える愛媛県の中村時広知事に対して、「立ち入り検査の結果が出次第、止まっているところは再稼働ということにしたい」と述べている。 立ち入り検査が終わっていないのに、自治体への説得を表明しては、「(再稼働の)結論ありき」と受け止められる。その意味で軽率な発言だった。

   再開へ前途は多難だ。

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