ロシアも輸出強化に意欲を見せる
需要の拡大は開発も促進する。米国で技術開発されたシェールガスの潜在埋蔵量は世界33カ国で計6600兆立方 フィートと、これまでの世界の天然ガス全体の潜在埋蔵量の4割に相当 するという(米エネルギー省リポート)。
国別では中国、アルゼンチン、南アフリカなどに豊富に存在するという。世界最大のガス生産国であるロシアも輸出強化に意欲を見せており、開発が進むサハリンに加え、極東シベリアのバイカル湖に近いチャンダ、コビクタの両ガス田の共同開発について、日本に秋波を送ってきているという。
北極圏の開発も活発化している。ノルウェー最北部のメルケア島で、今年、LNG基地が稼働した。パイプラインで欧州などに送るには遠すぎるため、特殊なタンカーで米国やスペインにピストン輸送するが、地球温暖化で、北極海航路が開ける可能性がささやかれることから、将来は北極海からベーリング海峡を抜けて太平洋に出て日本などにも輸出することを想定している という。
LNGはスポット取引より、20年などの契約が中心だが、日本の長期契約は世界的にみて高価格といわれる。「量的な安定調達を優先しすぎた」(業界関係者)ためとみられ、簡単には下げられないが、資源開発の活発化、特にシェールガスの拡大で「ガスの国際相場は下がるはず」(経済産業省OB)との声もある。しかし、中国やインドなどのエネルギー需要は旺盛で、福島第1の事故で 新興国での原発建設に暗雲もたれこめるだけに、ガス争奪戦の激化で価格高止まりの可能性もある。