海江田万里・経済産業相は2011年6月18日、運転再開の見通しが立っていない全国各地の定期検査中の原子力発電所について、「(安全対策が)適切に実施されたことを確認した」と話し、地元の自治体に原発の稼働再開を要請した。
経産省は7日、水素爆発の防止など、深刻な事故への緊急安全対策を各電力会社へ指示した。その後立ち入り検査などを行い、対策が十分と判断した。
経産相「安全性は国が説明したい」
海江田経産相は、18日の会見で、「電力供給の制約は日本経済にとって大きな課題になっている」と強調し、「原発の安全性については国が責任を持って丁寧に地元に説明したい。原発の再起動をぜひお願いしたい」と話した。
現在定期検査中の原発は、福島第1原子力発電所の事故後、地元などの理解が得られず再開のめどが立っていない。夏場に各地で電力不足となることが懸念されている。
これに対し、大阪府の橋下徹知事は18日、「時期尚早極まりない」「安全だっていうなら、大臣、経産省幹部、みんな強制的に原発周辺に住ませればいい」と厳しく批判。「福島の収拾も付けられていないこの時期に政治家がいうことなど、自治体は誰も聞きませんよ」とし、「本当に電力が足りないなら、リスクを明示した上で、地元に一時的にでも納得してもらうというアプローチにしないといけない」と指摘した。
「福島があの状況でよく言えるな」と批判多数
また、宮城県の村井嘉浩知事は経産省の方針について18日、「日本全国で電力が不足する状況で、国がそのような考え方を示したことには一定の理解はできる」と述べたが、現在停止中の女川原発(宮城県)の再稼働については、「コメントできない」とするにとどめた。
原発の再稼働要請はネットでも話題になり、多数の書き込みが掲示板などに寄せられた。「福島があの状況でよく言えるな」「日本全土を放射能汚染にさらしたいのか」「大多数の民意から懸け離れた選択だな」と批判的な意見が多い。
一方で、「このままだと全国的に電力が不足するってことだよね。ほんとにそれでいいの?」「将来的に脱原発をするにしても、今年の夏、原発止めてたら熱中症で何千人も死ぬかもしれんからな」といった見方も一部にあった。