「二束三文の買い叩きはない」
東電は1000億円分の保有不動産の売却を明らかにしているが、「具体的なこと(物件)は決まり次第ということです」という。ただ、1000億円分の不動産は東電本体の保有物件で、こちらを優先して売却。その後グループ会社が保有している分(570億円)についても、「場合によっては売却する可能性がある」と説明する。
売却資金は原発事故の賠償金の支払い原資に充てるのだから、東電は売却物件をできるだけ早く、しかも高額で売りたいところ。売却価格について、前出の中山氏はこう読む。
「東電は保有する不動産が多いので、一気には売却することがむずかしい。でも、もともと優良物件ですから、入札していい値段が付いたところから売っていくのでしょう。いまの投資環境が原発事故の影響で、まだ本来にないこともあって、外資系ファンドなどが二の足を踏んでいることもありますが、少なくともかつての金融危機のように外資系ファンドが二束三文で買い叩いてもっていくようなことはないはずです」