日本球界を襲う「松坂ショック」
大リーグは実力のみの世界で、過去の実績や温情は通用しない。地元紙は「松坂の時代は終わった」と断じている。その理由として「いつも故障がちだった」「調整方法で球団とうまくいかなかった」などを挙げている。つまりレッドソックスに戻る場所はない、という厳しい見方なのだ。ワールドシリーズMVPの松井秀喜が放出される世界なのである。
「高額な投資をしたレッドソックスに申し訳ない気持ちでいっぱいだ」
松坂は手術に際してそう言った。レッドソックスは松坂と西武に対し、総額120億円を払った。松坂の6年契約の取り分は60億円といわれている。その分、周囲からの風当たりが強かった。
来シーズンは契約最終年になる。とにかく試合で投げられる状態にならなければ「解雇」だ。他チームとの契約はキャンプでテスト生として参加することになる。それでも高額契約は望めない。
いま大リーグ各球団は日本選手獲得の考えを改めている。松坂への投資効果だ。松坂の大リーグ通算成績は今季の3勝を含めて49勝。「1勝あたり1億2000万円」になる。日本球界にいる大リーグ希望選手の契約はかなり厳しくなり、日本ハムのダルビッシュ有らに「松坂ショック」が襲うだろう。(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)