東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、「脱原発」を主張している大阪府の橋下徹知事が、「原発が本当に必要なら、一大消費地である大阪に造るという話を府民の皆さんにしなければならない」と発言し、物議をかもしている。
2011年6月12日には、自身のツイッターで「大阪湾のどこかに原発を立地する。大阪府民の皆さん、リスクを採るか、利便性・経済性を採るか、どちらにするか」と書き込んでいた。
「府民は原発を自分のこととして考えていない」
福島原発の事故後、橋下知事は「原発依存度を下げていかなければいけないという政治家としての思いがある」と語り、「脱原発」の旗印を鮮明にした。大阪府の電力は原発が集中する福井県に依存していることから、「府民は原発を自分のこととして考えていない」と指摘。「電力のあり方」を府民にたびたび問いかける一方で、原発推進派を強くけん制してきた。
半面、「何でもかんでも原発はダメというつもりはない」(橋下知事)とも話し、大阪府民が「原発が必要」というのであれば、その方向に舵を切ると柔軟さもにじませる。
ただ、「方向転換」には前提がある。原発問題は、生活の快適性とリスクを比較して住民が判断すべきこととし、「原発が必要だと府民が決めて、大阪湾に造るなら、それなりのリスクを覚悟しないといけない」と、原発に「賛成」する府民にリスクを負う「覚悟」を突きつけている。
大阪府の広報担当者によると、「大阪湾に立地する、とは例え話でしかない」そうで、具体的な原発構想はない。知事お得意のアドバルーンだったようだが、「橋下知事は、脱原発の姿勢を崩してはいませんよ」とも強調する。