シウマイ弁当で知られる「崎陽軒」がなんと、看板メニューであるシウマイの入っていない弁当の販売を開始した。
崎陽軒の「シウマイ弁当」といえば、横浜発の名物駅弁。長く親しんできた人たちは、「崎陽軒なのにシウマイが入っていないなんて…」と驚きを隠せない。
空港で扱われる「空弁」として認められたい
新商品の「おべんとう魚」は、サワラの照り焼き、つみれ揚げ、ニシンの昆布巻きなどが入った、魚メインの弁当だ。2011年6月10日から、羽田空港や百貨店などの東京を中心とした50店舗限定で販売されている。
崎陽軒はこの弁当で、これまで「シウマイ弁当」が認知されてきた「駅弁」としてだけでなく、空港で扱われる「空弁」、百貨店で扱われる弁当としての認知拡大をねらう。広報担当者は、
「羽田空港ではすでに弁当を販売していたが、どれもシウマイ入り。シウマイ抜きで、空港でのニーズに対応し『空弁』として認めてもらいたい。シウマイがなくてもおいしい弁当を作れるとアピールし、今後の商品展開につなげたい」
と狙いを話す。
シウマイ抜きについては、「冷めてもおいしいなどの駅弁づくりのノウハウを継承したうえで、味や価格にこだわった」と強調する。
社内から「シウマイなかったら崎陽軒じゃない」
崎陽軒らしさのない弁当の登場に、ネットでは「食べてみたい」「おいしそう」といった意見のほか、「これでは普通の弁当」「認めない」など声が上がっており、賛否両論だ。
開発にあたって社内でも「崎陽軒らしさがない」「シウマイがなかったら崎陽軒じゃない」などいった反対意見があったという。
また、ネットでは「飛行機内で匂うからシウマイを抜いたのか」という声もあるが、広報担当者は「シウマイ抜きの新スタイルの弁当を作るというコンセプトがまず先にあった」と否定する。
これまでもシウマイを使わない弁当の販売はあったが、目立ったヒット商品はなく、「新しいスタイルの弁当」というコンセプトのもと作るのは「おべんとう魚」が初めてだ。現在、50店舗で1日あたり200~250個ほど売れており、滑り出しは好調という。