中学校の男子生徒が、クラスメートらから布団を被せられ、押さえつけられる――。こんなショッキングな動画がユーチューブに投稿され、いじめなのかなどと物議を醸している。
「転がして…」「いけー」「乗れー」
布団を被せ、集団で押さえつける
体操服姿の男子生徒が部屋の床に倒された後、布団を次々に被せられ、クラスメートらが雄叫びを上げて、上に飛び乗る。ユーチューブに2011年6月10日に投稿された6分ほどの動画の冒頭シーンだ。
「死んだかも…」。こんな周囲のつぶやきからしばらくして、男子生徒は、布団を払いのけて起き上がった。そして、ビデオの方を見た後、そのまま座り込んで、目を拭う仕草を見せた。
「泣いちゃった」「無抵抗」…
しかし、クラスメートらは、さらに布団を被せ続け、再び起き上がった生徒に今度は枕を投げた。生徒も枕を投げ返すなど応戦したが、多勢に無勢だった。この生徒が別の生徒の手を握ると、「今ドラマ撮影です」と冷やかされ、さらにはボクシングの構えで挑まれる。生徒も、蹴りで反撃するも、また布団を被せられた。そして、再び起き上がるも、夕食の時間になり、クラスメートらから「メシ行こう」と呼びかけられて部屋を出て行くシーンで終わっている。
この動画が13日になってネット上で話題になると、いじめなのかどうかで論議になった。2ちゃんねるでは、「無言だけど地味に抵抗してるからこれはいじめ」と見る向きのほか、「じゃれてるようにしか見えん」といった指摘や演技ではないかと疑う声もあった。
体操着の背中にあった文字などから、群馬県内の市立中学であることが特定されたほか、14日までに、この騒ぎが一部で報道された。
中学校は当初、いじめの認識なかった?
市教委などによると、問題の行為は、3年生の修学旅行で2011年5月25日に京都市内のホテルに泊まったときに起きた。クラスメートら男子生徒9人がホテルの和室で夕食前に布団被せなどに加わり、その様子を撮ったビデオ動画をうち1人がユーチューブに投稿していた。投稿者は、深く考えずにアップロードしてしまったと反省を口にしているという。
この問題を報じた朝日新聞によると、市立中学校側は「いじめとは認識していない」と説明したという。いじめが日常的にあったわけではないとし、「悪ふざけの延長で悪質だ」とみていたと報じている。
これに対し、学校側は、J-CASTニュースの取材に対し、いじめがあったと重く受け止めて対処していることを明らかにした。報道から「軽くみている」と批判もあったというが、そうではなく、動画を見て最初からいじめの疑いを持っていたとしている。しかし、なぜ報道とズレがあるのかについては、はっきりとした説明はなかった。
市教委の青少年課では、取材に対し、被害を受けた生徒が苦痛を感じたという点で、いじめだという認識を持っているとした。事実確認の結果、生徒らの演技ではなく、単なる悪ふざけでもなかったとして、「学校もいじめとの認識で動いていると考えている」と言っている。