政府の地震調査研究推進本部が、将来の地震発生確率が高まる可能性がある断層帯として、宮城県亘理町から福島県南相馬市にまたがる「双葉断層」と、埼玉県南西部から東京多摩地域に延びる「立川断層帯」、糸魚川‐静岡県構造線活断層帯のうちの牛伏寺断層(長野県)の3か所の存在を明らかにした。
なかでも「立川断層帯」は、東京のベッドタウンの直下にあたる。予想される地震の規模はマグニチュード7.4程度で、東京都立川市や羽村市、武蔵村山市などでは震度6強の揺れが想定される。どこも人気の住宅地だが、安心ではないようだ。
発生間隔は1万年~1万5000年
「立川断層帯」は長さ33キロメートルで、埼玉県飯能市から東京都青梅市、立川市、府中市へ延びている。
地震調査研究推進本部は2003年に立川断層帯の「評価」を発表。それによると、地震の最新の活動時期は、約2万年前~1万3000年前。地震が発生する間隔を示す平均活動間隔は1万年~1万5000年程度というから、そろそろ活動があっても不思議ではない時期にあるようだ。
地震の発生確率は、30年以内にほぼ0.5%~2%と予測。全国の断層帯の中でも、「やや高い」位置付けになっている。
2010年1月に発表した想定される東海地震の発生確率が30年のうちに87%だから、それに比べるとかなり低い数字ではあるが、大雨や大風で罹災する確率(約0.5%)や、火災で罹災する確率(1.9%)とほぼ同じと考えていいようだ。
立川市内では数メートルの高低差がある断層崖
東京・立川市内では数メートルの高低差がある断層崖がわずかにみられる場所があり、断層部の北東側に、2~3メートルのたわみや段差といったズレが生じていると指摘している。
ただ、「そのことで震源の中心から北東部(都心より)にあたる地域が大きく揺れるとか、亀裂が入るといった被害が大きくなるというわけではありません。地震は揺れの周期や伝わり方などで違います」と、文部科学省の地震・防災研究課は説明する。
地震調査研究推進本部は、今回の東日本大震災によって「地殻変動の力の具合が大きく変わってきた」とみている。「震災の影響で東日本の断層帯が刺激を受けて地震を起こし、その影響で他の断層帯がまた地震を引き起こす可能性があります」と指摘。三陸沖や茨城県沖を震源とする余震や、秋田県内陸部や長野県などの地震がそれにあたるもよう。
断層帯が引き起こす地震は、海底のプレートが動く海溝型地震に比べて地震が発生する間隔が長いのが特徴という。これから具体的な分析に入るが、2011年6月9日の発表は、主要な110の断層帯について、どれだけ地震を起こしやすくなったかを推定したにすぎず、地震の発生確率がどの程度上昇するかは算出できていない。
「立川断層帯」など3か所についても、「他の断層帯に比べて可能性を指摘しただけで、発生確率が上がったわけではありません」としている。