2時間前に実施の可否通告「無計画停電だ」
計画停電は3月29日以降、実施の見送りが続いている。しかし夏場を想定した今回の発表で、利用者からは「またか」「23区除外は不公平」との不満や、「熱中症で運ばれる人が増えそう」と心配する声が上がっている。2時間前まで停電が起きるかどうか分からないという対応は評判が悪く、「突然停電宣告するのは『無計画停電』だ」と手厳しい意見もネットでは見られる。
経済産業省の「電力需給緊急対策本部」(現・電力需給に関する検討会合)は5月13日、今夏の東電の電力供給力として最大5380万キロワットとの見通しを示した。一方、昨夏のような猛暑に見舞われた場合を想定して需要を6000万キロワットと見込んでいるため、電力不足は決定的との結論だ。そのため経産省では大口需要者に対して、ピーク時の電力消費を15%削減する電力使用制限令を発表。ギリギリの対応で何とか乗り切ろうとしている。
この措置で、影響が広範囲にわたる計画停電を回避したい東電だが、新たな懸念材料が出てきた。6月10日に関西電力が、夏に電力不足に陥る可能性を明らかにしたうえで、管内の全契約者に対して7月1日~9月28日の期間、15%程度の節電を要請すると発表したのだ。これにより関電は、余剰電力を東電に融通することも中止するとした。東電にとって、頼みの綱としていた関電を頼れなくなるのは痛手となる。
3月の計画停電では、日常生活に混乱をきたしただけでなく、企業の生産活動にも大きく影響し、工業製品の製造ストップや食品の品薄を引き起した。その「悪夢」が繰り返されるのか、心配だ。