政策通、発言慎重で「面倒見良い」 「ポスト菅」野田財務相の素顔

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   「ポスト菅首相」として野田佳彦財務相(54)の名前が急浮上している。「知名度は今ひとつ」の声もあるが、以前に民主党代表選に出たこともある。どんな政治家なのか、素顔を探った。

   野田君に任せておけば間違いない。重石(おもし)のある人物だった――自民党の逢沢一郎・国会対策委員長(57)は2011年6月9日に放送された「ニュース23X(クロス)」(TBS系)でこう述べた。2人は、松下政経塾の第1期同期生だ。

約25年間、平日朝は地元の駅前で街頭活動

どうなる「ポスト菅」。
どうなる「ポスト菅」。

   野田氏は、現在5期目の衆院議員(千葉4区)だ。約20人の野田グループを率いている。蓮舫・行革担当相らがメンバーだ。松下政経塾の後輩にあたる前原誠司・前外相(49)らのグループと近い関係にある。

   「演説のうまさや面倒見の良い性格に定評」(朝日新聞)があり、「脱小沢派」ながら小沢系議員らからも「野田氏なら乗れる」との声も出る。最近では「排除」否定論も打ち出している。「発言も慎重」で安定感もあるとされる。

   財務省官僚の受けも良く、「政策をよく理解している」と評されている。逆に、民主党内には「財務省の出先のようだ」「財務省の手の平で踊らされている」との厳しい見方も出ている。

   野田氏は早稲田大学卒業後、29歳の若さで千葉県議となった。1992年には日本新党から立候補、衆院初当選を果たした。新進党を経て民主党へ。途中、1度の落選経験もある。

   民主党の野党時代は、「次の内閣」財務大臣や国会対策委員長を務めた。2009年の鳩山内閣時に財務副大臣に就任、10年6月発足の菅内閣で財務大臣として初入閣した。

   野田氏の地元事務所によると、県議選準備時代から副大臣時代まで約25年間、地元の駅前で朝の街頭活動を本人が「雨の日を除き、平日は毎日のように」続けていたという。大臣就任後は、スタッフらが行っているそうだ。

偽メール問題で辞任

   今も何となく続いている鳩山由紀夫・前首相(64)と菅直人首相(64)による「鳩菅体制」に、かつて真正面から異議を唱えたこともある。2002年の民主党代表選では、世代交代を訴え、若手代表の形で立候補し、2人に挑んだのだ。

   4人が立った同代表選では、野田氏は鳩山、菅両氏に続く3位に終わった。とは言え、サポーター票ではなく、国会議員票だけでみれば2位の菅氏に1票差に迫る戦いぶりだった。

   この代表選にあたって、支持者らが野田氏の恰幅ある風貌から「ドスン」と「(政策の)パンチを」といった意味あいから「ドスンパンチ」のキャッチフレーズを考え出した。今でも野田氏サイト上部に「ドスンパンチ!!」の文字が載っている。

   野田氏にとって「スネに傷」といえるのは、ホリエモン偽メール問題だ。2006年、前原代表、野田国対委員長時代の出来事だ。旧ライブドアの堀江貴文・元社長と自民幹部次男とに金銭を巡る不適切な関係があることを示すとされたメールのコピーを使って国会で追及したが、後にメールは偽物だと発覚した。

   野田氏は、「国会追及を許可したのは自分だ」として委員長を辞任した。ほどなく前原代表も辞めた。同メールで「追及」した永田寿康・衆院議員は議員辞職し、09年に自殺している。メールの真偽には民主党内にも懸念する声があったが、追及に前のめりになる前原代表を、「お友達」の野田氏らが抑えることができなかった、と分析する関係者も当時いた。

   政策としては、消費税増税の環境整備を進める財政再建論者として知られている。早速、「野田首相なら消費税増税に。反対だ」(福島瑞穂・社民党党首)といった反応も出ている。野田氏は2011年5月31日の会見で、消費税を上げるなら衆院選で是非を問うことになる、との考えを示している。

   候補としてほかには、鹿野道彦・農水相(69)や樽床伸二・元国対委員長(51)、小沢鋭仁・前環境相(57)らの名前が挙がっている。

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