東日本大震災で日本赤十字社などに寄せられた義援金は2500億円以上に上るが、そのほとんどが被災者の手元に届いていないことが分かった。震災発生から3か月たっても全体の15%ほどだ。
集まった義援金は、被害状況に応じて15都道県に配分された後、市区町村を通じて被災者へ届けられる。しかし、スピードよりも公平性を重視した配分方法、その事務処理を行う自治体の職員不足などが障害となり、配分の遅れを招いている。
仙台市役所1日の処理たったの30件
厚生労働省によると2011年6月3日までに集まった義援金は約2514億円。そのうち都道県に送金されたのは32%の約823億円。都道県からは約9割が市区町村に送られているが、被災者の手元へ届いたのは義援金全体の15%、約370億円にすぎない。
日赤などの団体からなる「義援金配分割合決定委員会」は4月7日、都道県への第1次配分基準を、死亡・行方不明者は1人あたり35万円、住宅全壊・全焼や原発からの避難者は1世帯あたり35万円、半壊・半焼は18万円とした。被害想定を大きく見積もり過ぎた結果、1件あたりの支給水準が低くなり、義援金が大幅に余る結果となった。
また、公平性を重視したため、建物の被害認定といった事務処理に時間がかかってしまう。そのため、被災地となった地方自治体では人手不足になり、今回の遅れにつながった。
6月6日放送のNHK「ニュースウォッチ9」によれば、同じ宮城県内でも被害の大きかった気仙沼市が支給対象者の約60%に支給できているのに対し、仙台市では約3%にしかすぎない。気仙沼市役所では職員が開発した罹災証明発行用の独自システムが力を発揮したが、仙台市役所では事務作業に当たることができたのはわずか8人で、システムも無駄が多く、1日の処理件数は30件ほどだった。