飲食店の生肉ほとんど「不適合」 ユッケ事件があぶり出した「不衛生」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件を受け、ユッケなどの生肉の提供をやめる飲食店が相次いでいる。

   「どこの肉なら食べられるのか」。消費者が疑心暗鬼になる中、各自治体が焼肉店などを対象に実施した立ち入り調査では、牛と馬の生肉を取り扱っている多くの施設が国の衛生基準に適合していないことが分かった。

東京では牛生肉99.5%が不適合

   東京都が2011年6月7日発表した調査結果によると、生食用食肉(牛肉・馬肉)を取り扱っている飲食店や卸業者のうち、衛生基準通に適合しないのは68.7%に上った。

   不適合の理由は、肉表面の細菌汚染を除去できるようなトリミング処理がされていない(51.4%)、器具の洗浄消毒を衛生基準で示された83度以上の温湯で行っていない(49.5%)など。

   生食用として販売された原料肉を加工している馬肉の場合、不適合は42.2%だったが、生食用がそもそも流通していない牛肉では、99.5%とほとんどが不適合だった。

   大阪府でもこの日、生食用食肉を提供していた314施設のうち、約7割の222施設が衛生基準を満たしていなかったと発表した。そのほか全国で大半の施設が基準を満たしていないことが分かっている。

「自己責任でいいから食べさせろ」

   調査を実施した自治体は、不適合の施設に対して生肉の提供中止を呼びかけている。多くの飲食店が事件を機にユッケなどの生肉料理をメニューから外しているが、厚生労働省が98年に通知した「生食用肉の衛生基準」は、あくまで努力目標に過ぎず、違反しても罰則はない。

   事件が起こっても「生肉を食べたい」という声は絶えない。ツイッターでも、「ユッケ食べたい」「自己責任でいいから食べさせろ」といった発言が目立っており、衛生基準の強化が求められている。

   厚生労働省は、今回の事件を受けて衛生基準を見直し、違反すれば食品衛生法に基づいて罰則を科す強制力のある基準を、10月から施行する方針だ。

   これに先駆け、埼玉県のように、生肉を提供する店舗・施設に届け出を義務づける制度導入することで、取り扱い店舗を把握して衛生基準を徹底する自治体もある。

   また、NHKの報道によると、再発を防ぐため、取り扱い事業者へ生肉に関する知識を広げる対策についても、6月9日に開かれた民主党議員連盟の会合で、政府に衛生基準の周知の徹底を求めるべきという意見が相次いだ。

姉妹サイト