「指揮命令系統めちゃくちゃに」
またネットでも、「吉田所長英雄視」に疑問の声が少なからず出ている。注水問題に関連しては、「命令違反は命令違反」「これを許すと指揮命令系統がめちゃくちゃになる」といった声だ。
注水問題を離れても、吉田所長が東電の執行役員である点などから、今回の原発事故を防げなかったことへの責任の一端がある、との見方が以前からある。「こいつが普段から点検などやってないせいで放射能撒き散らしたんだけど」といった意見が2ちゃんねるなどに並んでいる。
吉田所長を「英雄視」するかどうかはともかく、「吉田氏が辞めることはあってはならない」と訴える現場関係者もいる。福島第1原発の現地で作業員らを診察した、愛媛大大学院教授の谷川武医師は6月1日の会見で、吉田所長交代論に反対する考えを表明した。
「(所長が)彼だからついていく、という人が危機的な状況の後も残った」「吉田さんのもとで頑張ろう、というのがほとんどの方の気持ちだ」と、谷川医師は現場関係者の気持ちを代弁した。
東京電力は6月8日午後、福島第1原発の1、2号機の中央制御室が停電になったと発表した。原子炉への注水は継続中だが、いまだに不安が残る状況が続いている。