東京証券取引所グループの大株主の第2位に、ゴールドマン・サックス証券(GS)が浮上したことが、市場関係者らのあいだで話題だ。
東証は2011年6月21日に定時株主総会を開催する予定で、株主である証券会社などに、すでに召集通知を送っており、それで判明した。GSは東証の株式を10年3月期の4万株から、11年3月期には6万株に増やし、持ち株比率を1.76%から2.64%に引き上げた。
売り手は経営の苦しい中小証券か
東証の大株主は、トップのモルガン・スタンレーMUFG証券が10万株を保有。持ち株比率で4.40%を占める。それに次ぐのがSMBCフレンド証券とGSの6万株、2.64%。さらに、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が5万5000株の2.42%、リテラ・クレア証券4万1000株の1.80%と続いている。
2011年3月期で保有株数を増やしたのは、GSのほかではマネックス証券が2万株を増やして4万株とし、みずほ証券やBNPパリバ証券などと並んで大株主に名を連ねた。
証券取引所である東証とはいえ、株式の売買は可能だ。しかし、保有する東証株を売却する際には、「当社の取締役会の決議が必要になる」(東証)ので、そう簡単ではない。
マネックス証券が2万株を増やしたのは、10年5月に合併したオリックス証券が東証株を保有していたためだ。一方、GSは他の証券会社から買い取って増やしたものとみられる。
国際アナリストの枝川二郎氏は、「2001年に東証が株式会社になってから、多くの証券会社はその上場益に期待していた。なかでも中小の証券会社は、株式の売買高が年々減るなど経営が苦しい状態が続いているので、現金化してこの場を凌ごうとする動きがあってもおかしくない。(売り手は)おそらく、そういったところではないか」と推察する。
11年3月期の株主数は107社。株式会社化して以降、20社近くが減少した。